下中奈美
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下中奈美法律事務所  
広島弁護士会所属 〒730-0012 広島市中区上八丁堀7番1号ハイオス広島513号
TEL:082-222-9912

 このページでは,債務整理に関する事件の処理について,具体例を元にご案内致します。
 下記はあくまでも一例であり,ケースやご要望ごとに最適な方法をご提案させていただきます。
 また,債務整理の問題は放置すると対応が難しくなりますので,まずはご相談にお出でになることをお勧めします(ご事情により無料相談の利用も可能です)。


1.任意整理
任意整理は,借金の問題について,裁判上の手続を手続きを用いず,交渉によって利息のカット・長期の分割を求めていく業務です。
債権者に対して払い過ぎが発生していることが判明した場合には,必要に応じて訴訟を提起し払いすぎたお金の回収を図ります。
解決例
ご相談内容

 以前、A社,B社等8社から借り入れをし,長期間返済と借入を繰り返していましたが,自宅を担保にC社からまとまった金額を借りて全て完済しました。
 ところが,その後子供の進学や両親の病気等で大きな支出があり,C社への支払いが苦しくなって,いったんは完済したA社等からも再度借金をしてしまいました。
 現在債務の総額は900万円を超えていて,このままでは支払いを続けられそうにありません。

処理及び結果

 債権者に対し,弁護士の受任を知らせる通知を発送。通知後は,債権者は本人への請求ができなくなる。
 債権者からこれまでの取引の明細の開示を受け,利息制限法に基づく再計算をしたところ,A社,B社等には払いすぎが生じており,過払い金返還請求交渉,訴訟により過払い金を回収。
 C社には若干の債務が残るものの,これを支払って和解。必要書類の送付を受け,自宅についた抵当権を抹消。借金の無い生活を取り戻すことができた。

ポイント解説

1.過払金の発生
 このケースでは,債権者の一部が利息制限法の上限金利を超える利息を定めており,長期間の取引によって,既に払いすぎの状態になっていました。
 取引の経過等にもよりますが,およその目安として,5年半程度,約束通りの支払いを続けている場合には,過払いとなっている可能性が高いといえます。

2.おまとめローンの弊害
 複数の金融業者から借り入れをしている方を対象に,自宅等不動産を担保にまとまった金額を貸し付け,各社に返済して債務を一本化することを謳う金融商品があります。
 しかし,利息制限法を超える取引をしている場合には,そもそも債務が無くなっている可能性があり,その場合にさらなる返済をすることには害しかありません。完済した場合には,必ず過払いが発生しますから,各社から過払い金を回収しなければならなくなります。全額を回収できればよいのですが,回収費用がかかったり,貸主の経営状態が悪く過払い金の回収が十分にできないという可能性もあり,その場合は返し損ということになってしまいます。
 また,おまとめローンは利息の軽減を売り物にしていますが,借入元本額が大きく,長期間にわたる将来の利息負担は軽視できません。しかも,このケースのように,不測の出費によって支払いができなくなれば,担保に入れた自宅不動産を失う危険にさらされます。生活の建直しを最優先に考えれば,信用情報(金融機関の共有する,顧客の債務に関する情報)を傷つけず整理しなければならないような特別の事情が無い限り,法専門家を通じ,各借入先に照会して,本来支払うべき債務額を把握し,または,払いすぎたお金を回収した上で整理を行うべきです。




2.個人再生
個人再生は,借金が多額に上る場合に,裁判上の手続を使って債務額を一部カットし,計画的に返済していけるようにする手続です。
解決例
ご相談内容

 残り900万円の住宅ローンの他に,信販会社,消費者金融等に800万円余りの借金があり,債務の総額が1700万円を超えています。
 このままの状態で月々の支払いを続けていくことは到底できないのですが,住み慣れた家だけは手放したくありません。

処理及び結果

 債権者に対し,弁護士の受任を知らせる通知を発送。通知後は,債権者は本人への請求ができなくなる。
 債権者から送られる取引明細等により各債権者に対する正確な残債務額を把握する。
 住宅ローンについては銀行と協議の上,ローンを組み直して月々の支払額を抑える。
 住宅ローン以外の債務800万円は,個人再生手続により300万円程度に圧縮し,これを5年間で返済をしていけばよいこととなった。

ポイント解説

1.安定した収入
 このケースでは依頼者ご本人に安定した年金収入があったため,住宅資金特別条項付き給与所得者等再生(住宅ローン以外の債務を圧縮する制度)の制度を利用することができました。

2.清算価値保障原則に注意
 ローン以外に800万円の債務がある,という場合に個人再生による返済計画を裁判所に認めてもらうには,その債務額の少なくともその5分の1を支払わなければならないというルールが適用されます。
 ただ,債務額を基準とするこのルールの他に,破産する場合に分配すべき資産の合計に相当する額は最低限返済しないといけない,というルール(清算価値保障原則)があります。
 この例でも,ローンを除いた不動産の価値や保険などの資産が合計300万円程度あったので,160万円(800万円の5分の1相当)ではなく300万円が圧縮の下限となりました。
 ローンの残額がさらに少ないケースでは,清算価値が大きくなるので十分な圧縮ができないこともありますが,ケースによっては自宅を保持するための有効な手段の一つとなります。





3.破産
破産は,債務の免除を受けるための裁判上の手続です。
解決例
ご相談内容

 夫の収入が不安定だったので,時折クレジットカードでお金を借り,生活費に充てることがあったのですが,やがて常に借入をしているような状態になってしまいました。
 その後も夫の収入は上向かず,利息の支払いが苦しくなり,複数のカードでお金を借りては返す悪循環に陥り,現在では200万円近い債務が残っています。
 夫の収入が安定しつつあるので,私の借金を整理し,生活を立て直したいと思っています。 

処理及び結果

 債権者に対し,弁護士の受任を知らせる通知を発送。通知後は,債権者は債務者への直接の接触ができなくなる。
 取引履歴の開示を受け,利息制限法に基づく再計算をしたところ,実際の債務は150万円程度であった。
 ただ,毎月の収入に不安があること,ご本人個人名義の高価な資産が無く,簡易な手続を用いることができるケースであったことから,ご本人の意向を確認の上,破産手続を選択。
 裁判所から免責の決定を得て,およそ150万円の債務は今後支払わなくてよいこととなった。また,ご本人名義の軽自動車は,登録後年数が経っており時価が低額であったことから手元に残すことができた。

ポイント解説

1.迷信に惑わされないこと
 破産に関して,家財道具の全てを押さえられて生活できなくなるのではないか,刑事罰を受けるのではないか,選挙権を失うのではないか,というようなご質問をうけることがありますが,いずれも迷信です。「破産」という言葉にはネガティブなイメージがつきまといますが,破産手続は,支払い能力を超えた多額の債務を負う債務者を債務から解放し,生活を立て直す機会を与える手続でもあります。
 
2.破産のメリット
 破産のメリットは,免責決定を受けることができれば,借金を支払う法的な義務を免れることができる点です。無理に支払いをしようとして親類や知人を巻き込む,ということを避けることができます。

3.破産のデメリット
 破産のデメリットとして,自己所有の不動産のような高価な財産を手放さなければならなくなる可能性が高いという点を挙げることができます。
 これに対し,高価な財産をお持ちでない方については,以下のようなデメリットはあるものの,メリットが上回るケースが多いといえます。
 @ 政府刊行の官報に破産の事実が掲載される。
 A 破産手続開始決定から免責決定が確定するまでの間,一定の職業について資格制限が生じる。